この記事では、卵黄由来のサプリを製造しているファーマフーズの2020~2021年に株価上昇した要因(原因、理由)について、分析した情報を解説していきます。
ファーマフーズの企業概要
まずは、ファーマフーズの概要を確認していきたいと思います。
出典:2023年3集 会社四季報
ファーマフーズは、機能性素材事業や機能性製品事業、通信販売事業、創薬事業を展開している企業です。
機能性素材事業では、ストレス緩和・リラックス・疲労感の軽減効果があるGABAや脂肪の吸収を抑制する効果があるリピスマート、運動パフォーマンス向上・疲労感軽減作用があるランペップ、美白効果があるセレプロン等、様々な機能性素材を製造しています。
次に、機能性製品事業では、GABA100mg1を配合し、中高年の方の加齢に伴い低下する筋肉量の維持をサポートする筋肉ラボやGABA28mgを配合し、仕事や勉強による一時的な精神的ストレスや疲労感を軽減するGABA緑茶、GABA100mgを配合し、睡眠の質を改善する夜ラボ等の機能性製品を製造しています。
次に、通信販売事業では、機能性素材ビジネスの応用展開、事業の拡大、機能性素材を使用した最終商品ビジネスを行なっているようです。
最後に創薬事業では、ニワトリ由来の抗体作成技術ALAgen technologyに基づく抗体や複数のアミノ酸からなる化合物である「ペプチド」を応用して創られる創薬の研究を実施しているようです。
ファーマフーズは、「医」(Pharmaceutical)と「食」(Foods)の融合「ファーマフーズ」(Pharma Foods)を目指し、健康維持と生活の質(Quality of Life)の向上に役立つ機能を明確に持つ食品素材の創造を行っていくことを眼材しているようです。
それでは、ファーマフーズの2020~2021年に株価上昇したチャートを見ていきます。
株価チャート
こちらの月足の株価チャートで示した、赤四角で囲んだ部分が今回分析を行う株価上昇部分となります。
株価上昇に転じる前の株価の底が、約500円となっています。
その後、約3,500円付近まで上昇しているので、株価の底500円でファーマフーズの株式を購入できれば、3500円/500円=700%(7倍株)となり、ファーマフーズの株式を購入したお金が7倍になったということになります。
100万円分購入していたら、700万円に変化ということですね。
それでは、気になる7倍株に変化した要因・理由を分析していきます。
上昇要因の分析
財務面での分析
まずは、各企業のIRページにて、開示されている決算や有価証券報告書に記載の財務状況から、株価上昇の要因・理由を分析していきます。
ちなみに、ファーマフーズの決算や有価証券報告書が開示されているIRサイトのURLは、こちらです。ご興味ある方は、ぜひご確認頂ければと思います。
財務面で確認する項目は、以下に示す通りで、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの指標(出典:バフェットの財務諸表を読む力)をお借りして、財務面の状況を確認していきたいと思います。
財務面の確認項目
- 売上高(営業収益)
- 純利益
- 流動比率(=流動資産/流動負債)
- 現金
- ROE(株主資本利益率=純利益/純利益)
- EPS(1株当たり利益=純利益/発行済み株式総数)
- キャッシュフロー・マトリックス
売上高・営業利益・純利益
売上高と営業利益、純利益は以下グラフのようになります。
株価上昇があった期間が、2020~2021年となりまして、2021年に大幅な利益上昇となっていることが分かります。
2021年の大幅な利益上昇の要因
2021年の大幅な利益上昇の要因については、前期比を大幅に超える広告宣伝費や研究開発費を費やし、各事業への積極投資を継続したことで、「ニューモ育毛剤」を中心に顧客獲得が進展し、また、抗体医薬に関する独占的ライセンス契約を田辺三菱製薬株式会社と締結したことをきっかけに、抗体作製への評価が高まったことが影響したようです。
上述したような売上高、純利益の右肩上がりの業績の好調さによって、株価が上昇したのではないかと考えられます。
その他財務状況
株価上昇の分析でも使いますが、主に投資対象としての適正を見る側面として、流動比率、現金、ROE(株主資本利益率)、EPS(1株当たり利益)、キャッシュフロー・マトリックスの数値を見ていきます。
ウォーレン・バフェット指標:過去5年以上0.5%以上か?
ウォーレン・バフェット指標:現金の推移は安定しているか、右肩上がりか?
ウォーレン・バフェット指標:株主資本利益率(ROE)は安定的に高い数値か?
参考:2018年 日本の上場企業ROE平均値9.4%(出典:経済産業省)
ウォーレン・バフェット指標:1株当たり利益(EPS)が安定的に高くなっているか?
ウォーレン・バフェット指標:キャッシュフロー・マトリックスが安定期もしくは投資期か?(下図参照)
これらの指標を確認すると、流動比率が年々低下傾向で、詳細を見ると、短期借入金が増加していることがあり、財務面の不安が少しあると思われます。
また、キャッシュフロー・マトリックスにおいて、2020年と2022年に破綻期に入っていることも不安な要素となります。
従いまして、投資対象としては、少し懸念がある銘柄のように思いました。
次に、日足でのチャートと各種テクニカル指標を確認し、もう少し詳細な株価上昇要因を見ていきます。
日足チャートとテクニカル指標での分析
日足チャートに、ボリンジャーバンド、MACD、RSIなどのテクニカル指標を追加したグラフがこちらです。(日足チャートのみと日足チャートにテクニカル指標追加したグラフを分けています)
■日足チャート
■日足チャート+MACD+RSI+出来高
※緑線:ボリンジャーバンド上線、青線:25日移動平均線、赤線:ボリンジャーバンド下線
<テクニカル指標説明>
ボリンジャーバンド: 一般的に、上線にローソク足が近づけば売り、下線にローソク足が近づけば買い(価格の大半が上線と下線の帯(バンド)の中に収まるという統計学を応用した指標で、様々な活用法がある)
MACD(Moving Average Convergence Divergence): ヒストグラムが「マイナス→0→プラス」で買いシグナル、「プラス→0→マイナス」で売りシグナル(売買タイミングを判断する指標)
RSI(Relative Strength Index): 一般的に70~80%以上で買われ過ぎ、20~30%以下で売られ過ぎ(買われすぎ、売られ過ぎを確認し、売買タイミングを判断する指標)
日足で確認すると、急上昇、利益確定の急下落を繰り返して、最終的に株価が約3,500円まで上昇したことが分かります。
それでは、比較的に大きめの株価上昇ポイントである、グラフに記載の赤四角部分および青四角部分の株価上昇分析をしたいと思います。
赤四角部分の株価上昇要因・理由
まず、初めに赤四角部分の期間(2020年11月付近)には、2021年7月期第2四半期業績予想及び通期業績予想の上方修正に関するお知らせ(2020年11月16日)を発表しています。
2021年7月期第2四半期業績予想及び通期業績予想の上方修正に関するお知らせ
2021年7月期第2四半期業績予想及び通期業績予想の上方修正に関するお知らせについては、通期業績予想において、売上高が修正前から71.3%増の400億円、経常利益が修正前から76.2%増の21億円、純利益が修正前72.3%増の14億円の上方修正を発表しています。
この上方修正の理由としては、通信販売事業において、第2四半期までに想定以上のペースで獲得した定期顧客の継続購入などがあり、積極的に投資を継続しながら、同時に利益水準も高まったため、売上高及び利益が大幅に増加したようです。
この上方修正を投資家が好感し、株価上昇したのではないかと思われます。
青四角部分の株価上昇要因・理由
次に、青四角部分の期間(2021年2月付近)には、配当予想の修正(東証一部指定記念配当)に関するお知らせ(2021年2月8日)及び2021年7月期第2四半期業績予想の修正に関するお知らせ(2021年2月15日)を発表しています。
配当予想の修正(東証一部指定記念配当)に関するお知らせ
配当予想の修正(東証一部記念配当)に関するお知らせについては、2021年2月4日に公表していた「東京証券取引所市場第一部指定承認」に対する指定記念として、1株当たり5円の記念配当を実施することを発表しています。
2021年7月期第2四半期業績予想の修正に関するお知らせ
次に、2021年7月期第2四半期業績予想の修正に関するお知らせについては、上述の赤四角部分の株価上昇要因・理由部分での上昇修正からさらに上昇修正する形で上方修正を発表しています。
詳細の数値については、下表のような数値となっており、売上高は前回の上方修正時からほとんど変化がないものの、利益に関しては、大幅な赤字縮小になっていることが分かります。
上述しましたような、上方修正に対する上方修正や記念配当などが投資家の好感を買い、株価上昇していったのではないかと考えられます。
まとめ
この記事では、ファーマフーズ(2929)の株価上昇要因・理由について、解説しました。
今回のファーマフーズの主な株価上昇要因・理由として、以下のような要因・理由がありました。
- 業績予想の上方修正
- 記念配当の実施
今回のファーマフーズの株価上昇要因としては、上方修正による好調な業績を報告できたことが大きかったように思いました。
ただ、個人的な意見としては、上方修正というものは、達成できそうな業績に対して、低めの予想を出しておけば、通常通り経営ができれば、上方修正できるように思えるため、予想の数値の置き方が肝になる気がしています。
もちろん、低めの予想を出しておくと、会社として成長鈍化していると捉えられて、株価がマイナスになる可能性もありますが、高め予想のその予想を悪い意味で裏切る下方修正よりは、低め予想のその予想を良い意味で裏切る上方修正の方が株価は上がりそうな気がしますね。
上述した内容は、あくまで予想の出し方についてで、その予想の出し方は、企業それぞれの方針があり、社員の意識を上げるため等、様々な意図があるとは思いますが、最終的には、業績を右肩上がりに伸ばし続ければ、必然的に株価が上昇していくのが、一般的な動きなので、業績の見せ方によって、株価も変動するとは思いますが、伸び続ける企業を見抜くことが投資家に求められる一つの要素であると改めて感じました。
(今後、そのような業績の見せ方による株価変動の分析もできればと思います。)
以下の記事で、一般的な株価上昇の要因・理由を紹介してますので、ご興味ございましたら、ご確認頂ければと思います。
長々と記載させて頂きましたが、お読み頂きまして、ありがとうございました。今回お読み頂いて、お読み頂いた方の気づきがあれば、幸いです。
コメント