ニコン(7731) 2021年~の株価上昇要因・理由の分析

カメラ画像 日本株

この記事では、カメラや双眼鏡を製造しているニコンの2021~2023年に株価上昇した要因(原因、理由)について、分析した情報を解説していきます。

ニコンの企業概要

まずは、ニコンの概要を確認していきたいと思います。

ニコン概要

出典:2023年2集 会社四季報

ニコンは、カメラや双眼鏡以外にも、半導体の製造装置や電子部品の欠陥発見に使われる測定機なども製造しているようです。

カメラや双眼鏡以外のどの製品も、従来のカメラ、双眼鏡の光学技術などの今まで培ってきた強みを活かした製品のように思われ、強みを活かしながら、着実に事業を拡大していっている企業なのではないかと感じました。

また、東京の品川になりますが、ニコンミュージアムという、各事業の歴史・製品・技術などを展示している催しをしているようです。

HPの写真を見ると、今まで製造してきた、たくさんのカメラが展示されていることが分かり、カップヌードルミュージアムのインスタント麺の歴史のように、カメラの歴史が分かって、面白そうだなと思いました。

それでは、ニコンの2021~2023年に株価上昇したチャートを見ていきます。

株価チャート

月足チャート

こちらの月足の株価チャートで示した、赤四角で囲んだ部分が今回分析を行う株価上昇部分となります。

株価上昇に転じる前の株価の底が、約600円となっています。

その後、約1,800円付近まで上昇しているので、株価の底600円でニコンの株式を購入できれば、1800円/600円=300%(3倍株)となり、ニコンの株式を購入したお金が3倍になったということになります。

100万円分購入していたら、300万円に変化ということですね。

それでは、気になる3倍株に変化した要因・理由を分析していきます。

上昇要因の分析

財務面での分析

まずは、各企業のIRページにて、開示されている決算や有価証券報告書に記載の財務状況から、株価上昇の要因・理由を分析していきます。

ちなみに、ニコンの決算や有価証券報告書が開示されているIRサイトのURLは、こちらです。ご興味ある方は、ぜひご確認頂ければと思います。

財務面で確認する項目は、以下に示す通りで、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの指標(出典:バフェットの財務諸表を読む力)をお借りして、財務面の状況を確認していきたいと思います。

財務面の確認項目

  • 売上高(営業収益)
  • 純利益
  • 流動比率(=流動資産/流動負債)
  • 現金
  • ROE(株主資本利益率=純利益/純利益)
  • EPS(1株当たり利益=純利益/発行済み株式総数)
  • キャッシュフロー・マトリックス

売上高・営業利益・純利益

売上高と営業利益、純利益は以下グラフのようになります。

売上高
営業利益
純利益

株価上昇があった期間が、2021~2023年となりまして、2021年から2023年にかけて、営業利益及び純利益が赤字から黒字に回復していることが分かります。

2021年の営業利益及び純利益の赤字要因・理由としては、やはり新型コロナウイルスの影響があったようで、デジタルカメラ市場は一時的に大幅な需要減少が見られた他、バイオサイエンス分野及び眼科診断分野ともに、市況は総じて低調に推移したことが影響し、営業利益及び純利益が赤字となってしまったようです。

その赤字からの黒字回復した2022年の営業利益及び純利益の黒字回復要因・理由としては、半導体不足等による半導体関連分野(半導体露光装置などを製造販売)の設備投資が拡大基調になったことや、ヘルスケア事業やデジタルソリューションズ事業など複数の事業が好調に推移したことが影響し、黒字回復したようです。

これらの赤字から黒字回復したことによって、株価が上昇したのではないかと考えられます。

その他財務状況

株価上昇の分析でも使いますが、主に投資対象としての適正を見る側面として、流動比率、現金、ROE(株主資本利益率)、EPS(1株当たり利益)、キャッシュフロー・マトリックスの数値を見ていきます。

流動比率

ウォーレン・バフェット指標:過去5年以上0.5%以上か?

現金

ウォーレン・バフェット指標:現金の推移は安定しているか、右肩上がりか?

ROE

ウォーレン・バフェット指標:株主資本利益率(ROE)は安定的に高い数値か?

参考:2018年 日本の上場企業ROE平均値9.4%(出典:経済産業省)

EPS

ウォーレン・バフェット指標:1株当たり利益(EPS)が安定的に高くなっているか?

キャッシュフローマトリックス

ウォーレン・バフェット指標:キャッシュフロー・マトリックスが安定期もしくは投資期か?(下図参照)

キャッシュフローマトリックス住み分け

これらの指標を確認すると、上述した2021年の赤字の影響によって、ROEやEPSの悪化が見られ、キャッシュフローマトリックスにて、2021年に停滞期に入ってはいることが分かります。

また、現金の推移が右肩下がりになっていることも資産面の不安要素となり、投資対象としては、そこまで良い印象ではないように思います。

次に、日足でのチャートと各種テクニカル指標を確認し、もう少し詳細な株価上昇要因を見ていきます。

日足チャートとテクニカル指標での分析

日足チャートに、ボリンジャーバンド、MACD、RSIなどのテクニカル指標を追加したグラフがこちらです。(日足チャートのみと日足チャートにテクニカル指標追加したグラフを分けています)

■日足チャート

日足チャート

■日足チャート+MACD+RSI+出来高

日足チャート+テクニカル指標

※緑線:ボリンジャーバンド上線、青線:25日移動平均線、赤線:ボリンジャーバンド下線

<テクニカル指標説明>

ボリンジャーバンド: 一般的に、上線にローソク足が近づけば売り、下線にローソク足が近づけば買い(価格の大半が上線と下線の帯(バンド)の中に収まるという統計学を応用した指標で、様々な活用法がある)

MACD(Moving Average Convergence Divergence): ヒストグラムが「マイナス→0→プラス」で買いシグナル、「プラス→0→マイナス」で売りシグナル(売買タイミングを判断する指標)

RSI(Relative Strength Index): 一般的に70~80%以上で買われ過ぎ、20~30%以下で売られ過ぎ(買われすぎ、売られ過ぎを確認し、売買タイミングを判断する指標)

日足で確認すると、上がり下がりを何度も繰り返しながら、長い期間を掛けて、最終的に株価が約1,800円まで上昇したことが分かります。

それでは、比較的に大きめの株価上昇ポイントである、グラフに記載の赤四角部分、青四角部分及び紫四角部分の株価上昇分析をしたいと思います。

赤四角部分の株価上昇要因・理由

まず、初めに赤四角部分の期間(2021年8月付近)には、同じカメラメーカーで、競合他社のキャノンの2021年12月期連結業績予想の修正に関するお知らせ(2021年7月19日)とニコンの2022年3月期第1四半期の決算報告(2021年8月5日)をしています。

競合他社キャノンの2021年12月期連結業績予想の修正に関するお知らせ

まず、競合他社のキャノンの業績予想の修正についてですが、なぜ競合他社のキャノンが?、と思われるかもしれませんが、競合他社のキャノンの業績予想の上方修正によって、類似企業の先回り買いが起こり、キャノンと同じカメラを製造しているニコンの株価上昇に繋がったようです。

以下のようにキャノンの株価が業績予想の上方修正報告した7/19の次の日7/20から株価上昇していることが分かり、ニコンの株価も7/20から株価上昇していることが分かります。

また、キャノンの上方修正の理由の一つに、在宅勤務と在宅学習の世界的な広がりを背景として、インクジェットプリンターの販売が伸びたことがあり、キャノンと同じくインクジェットプリンターを販売しているセイコーエプソンの株価も、以下のように7/20から上昇していることがわかります。

■キャノン日足チャート

■ニコン日足チャート

■セイコーエプソン日足チャート

2022年3月期第1四半期の決算報告

この決算では、純利益において、前年同期比で293億円の158億円となり、上述しましたように赤字から黒字転換したようです。

特にデジタルカメラなどの映像事業と、テレビやPCなどの薄型映像表示装置を作製するためのFPD(フラットパネルディスプレイ)露光装置などの精機事業で大幅な増収となったようです。

また、2022年3月期連結業績予想を上方修正することを発表しています。

純利益においては、前回予想37.5%増の220億円に上昇修正しており、上方修正の理由としては、上述した映像事業や精機事業の需要が強く、好調であることのようです。

これらの連想買いや業績の上方修正によって、株価が上昇したと考えられます。

青四角部分の株価上昇要因・理由

次に、青四角部分の期間(2022年5月付近)には、IR Day(機関投資家や証券アナリストなどの投資家向けに会社の業績や見通しを説明する取り組み)を開催(2022年5月26日)しており、上述した映像事業や精機事業の推移が好調なことが、評価の高まりに繋がり、証券会社の目標株価引き上げの動きが出たようです。

この証券会社の目標株価引き上げの動きなどもあり、今後の業績上昇に期待度が高まり、株価上昇したと考えられます。

紫四角部分の株価上昇要因・理由

最後に、紫四角部分の期間(2023年6月付近)には、特にIR情報は開示されていませんが、日銀の金融緩和継続ウォーレンバフェットの商社株買い増し報道などによって、外国人投資家の日本株への資金流入が増え、日経平均株価がバブル崩壊後の最高値をつけたことが影響していると思われます。

また、その日経平均の伸びを牽引したのは、半導体関連株で、アドバンテスト、SCREENホールディングス、ルネサスエレクトロニクスなどの半導体株は、大幅な上昇が見られ、半導体関連の装置を製造しているニコンにも、その流れに乗ったのではないかと考えれます。

半導体関連株の上昇には、ChatGPTなどの生成系AIの普及を見据え、膨大なデータを扱うAI向けの半導体に関心が集まっていることと、中国への半導体投資のリスクが、米中の制裁応酬で高まっていることにあるようです。

その影響もあり、以下のように半導体関連株の各社の株価上昇が起こり、ニコンの株価も上昇したと考えれます。

■アドバンテスト 日足チャート

■SCREENホールディングス 日足チャート

■ルネサスエレクトロニクス 日足チャート

まとめ

この記事では、ニコン(7731)の株価上昇要因・理由について、解説しました。

今回のニコンの主な株価上昇要因・理由として、以下のような要因・理由がありました。

  • 競合他社の業績好調による連想買い
  • 赤字から黒字転換
  • 業績予想の上方修正
  • 証券会社の目標株価引き上げ
  • 日経平均株価の上昇

今回のニコンの株価上昇要因には、様々な理由・要因がありましたが、競合他社の業績好調による連想買いというのは、コロナウイルスのようにマクロ的に全業界、全市場が影響を及ぼした出来事があったため、コロナウイルスで下がっていた収益が、同じ業界も回復するに違いない、という推測の基から株価上昇したと考えれます。

ですので、経済が通常の状態であれば、通用しない、当てはめることができないパターンもあるかと思いますので、状況を多角的に見て判断し、すぐに飛びついて購入して、大火傷(短期間での大損失)を負わないように気をつけたいと思いました。

以下の記事で、一般的な株価上昇の要因・理由を紹介してますので、ご興味ございましたら、ご確認頂ければと思います。

長々と記載させて頂きましたが、お読み頂きまして、ありがとうございました。今回お読み頂いて、お読み頂いた方の気づきがあれば、幸いです。

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