この記事では、『住宅ローンの金利変動に対する住宅関連株の株価への影響』を分析していきたいと思います。
結論を先に申し上げておきますと、住宅ローンの金利と住宅関連株の株価は過去のチャートにおいて、ある程度の相関があり、日銀が金融緩和を導入し始めた2013年4月頃から株価が上がっていることが分かり、住宅関連株を購入する際には、住宅ローンの金利及び日銀の金融政策の今後の動向を把握しておくことが大事と思われます。
住宅ローンの金利について
まず、住宅ローンの金利について、説明したいと思います。
住宅ローンの金利とは、住宅を購入する際に一括で住宅を購入できない場合、住宅購入費を金融機関等に借入を行い、この借入を行なったお金(元金)に対して支払う利息の割合のことを言います。
つまり、住宅ローンの金利が高くなれば高くなるほど、住宅を購入する金額が高くなることを指しています。
この住宅ローンには、大きく分けて固定金利と変動金利の2種類の金利があり、それぞれの違いは以下のようになります。
固定金利…契約時に決めた金利が返済まで変動しない
変動金利…返済までに金利が変動する
この固定金利と変動金利で、それぞれ金利は異なりますが、基本はどちらの金利も連動して高くなったり、低くなったりしますので、住宅関連株の株価との比較は固定金利と比較したいと思います。
住宅ローンの金利と住宅関連株の株価比較
次に、住宅ローンの金利と住宅関連株の株価チャートの関係を見ていきたいと思います。
今回において、比較する住宅関連株は、住友林業(1911)、大和ハウス工業(1925)、積水ハウス(1928)など、いずれも住宅販売を手がけている大手企業を選択しました。
住宅ローンの金利については、三井住友銀行の固定金利を選択しております。(各金融機関によって金利の差はありますが、金利は日本の金融政策と連動する傾向にあり、おおよその傾向はどこの金融機関も同じような動きとなります)
それぞれのグラフにおける、上側のローソク足が株価、下側の青線が住宅ローンの推移を示しており、赤枠で囲った期間が日銀の「量的・質的金融緩和」を導入している期間を示しています。
■住友林業(1911)株価
■大和ハウス工業(1925)株価
■積水ハウス(1928)株価
これらの住宅関連株と住宅ローンのグラフを見ると、各住宅関連株の業績などの違いで、株価の微妙な違いはあるものの、住宅ローンが高かった2004年〜2012年の住宅関連株の株価は、住宅ローンが低い2013年〜2021年の住宅関連株の株価に比べて、低い水準になっていることが分かります。
また、日銀の「量的・質的金融緩和」が導入される2013年4月の前に住宅関連株の株価上昇が始まっていることが分かり、おそらく「量的・質的金融緩和」が導入されたのは、2013年4月ですが、その前から発表はあったと思うので、住宅ローンが低下する期待からの株価上昇もあったのかもしれません。
このように住宅ローンに対して、住宅関連株の株価が変動する流れとしては、住宅ローンが安くなると、その分安く家を購入することができ、購入したいと考える人が増え、住宅関連の企業の業績が良くなり、株価が上昇するという流れがあると考えられます。
対照的に、住宅ローンが高くなると、その分家を購入するために多く利子を支払う必要があり、購入したいと考える人が減り、住宅関連の企業の業績が悪くなり、株価が下落するという流れが考えられます。
従いまして、住宅関連株を購入する際には、住宅ローンの金利や日銀の金融政策をよく確認し、今後どのように推移するかを予測することが大事だと感じました。
以下は参考程度に示しているのですが、以下の銀行株は、この記事の前の記事で使っていた銀行株の株価を示しており、2013年〜2020年株価推移は、対照的な動き(住宅関連株:上昇、銀行株:2006年の株価に比べると低価格で横ばい)になっていることが分かります。
このお互いの株価の動きも、住宅関連の企業と銀行が、金利の変化でどのように儲けが変わるかを示しており、金利が上がることで儲かる銀行と金利が下がることで儲かる住宅関連株の企業の構図を示していると考えられます。
■三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)株価
■三井住友フィナンシャルグループ(8316)株価
■みずほフィナンシャルグループ(8411)株価
まとめ
これまで説明してきましたように、住宅ローンが住宅関連株の業績や株価に関わると考えられ、今後の住宅ローンの金利は、日本の経済状況(インフレかデフレかなど)で凡そどのように動いていくかが予測できますので、日本の経済状況を鑑みて、住宅関連株の購入タイミングを考えると、大きな利益を獲得する or 損失のリスクを低減することができるのではないかと感じました。
長々と記載させて頂きましたが、お読み頂きまして、ありがとうございました。今回お読み頂いて、お読み頂いた方の気づきがあれば、幸いです。
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