サッポロHD(2501)　2020年~の株価上昇要因・理由の分析

この記事では、サッポロビールで有名なサッポロホールディングス(2501)の2020年〜2022年の間に株価上昇した要因(原因、理由)について、分析した情報を解説していきます。

サッポロホールディングスの企業概要

まずは、サッポロホールディングスの概要を確認していきたいと思います。

出典：2023年2集 会社四季報

サッポロホールディングスのイメージといえば、サッポロビールで、北海道で主に販売しているサッポロクラシックが美味しいイメージが僕はありましたが、不動産や外食、またポッカと経営統合していたのは、会社四季報を読んで知りまして、意外でした。

このような意外な情報を知るたびに、企業が展開しているほんの一部の側面しか知らないことを痛感させられます…。

それでは、サッポロホールディングスの2020年〜2022年に上昇した株価チャートを見ていきます。

株価チャート

※緑線：ボリンジャーバンド上線、青線：12ヶ月移動平均線、赤線：ボリンジャーバンド下線

こちらの月足の株価チャートで示した、赤四角で囲んだ部分が今回分析を行う株価上昇部分となります。

株価上昇に転じる前の2020年5月31日(2020-May-31)付近の株価の底が、おおよそ1,700円となっています。

その後、3,500円付近まで上昇しているので、株価の底1,700円でサッポロホールディングスの株式を購入できれば、3500円/1700円≒206%(2倍株)となり、サッポロホールディングスの株式を購入したお金が2倍に化けていたことになります。

100万円分購入していたら、200万円に変化ということですね、夢がありますね。

それでは、気になる2倍株に変化した要因を分析していきます。

上昇要因の分析

財務面での分析

まずは、各企業のIRページにて、開示されている決算や有価証券報告書に記載の財務状況から、株価上昇の要因を分析していきます。

ちなみに、サッポロホールディングスの決算や有価証券報告書が開示されているIRサイトのURLは、こちらです。ご興味ある方は、ぜひご確認頂ければと思います。

財務面で確認する項目は、以下に示す通りで、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの指標(出典：バフェットの財務諸表を読む力)をお借りして、財務面の状況を確認していきたいと思います。

売上高・純利益

売上高と純利益は以下グラフのようになります。

株価上昇があった期間が、2020年から2022年となりますが、2020年の純利益は大幅減益となっています。

大幅減益の理由としては、やはりコロナウイルスの影響が関わっているのかと思いきや、2020年決算短信によると、

>>営業利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益は、早期退職優遇制度などの実施に伴う一時費用やポッカサッポロフード＆ビバレッジ社で計上した固定資産の減損損失により、多額の損失を計上しました。(2020年通期決算短信より)

ということのようで、早期退職優遇制度のような人員カットおよび、ポッカレモンや飲料、スープを製造しているポッカサッポロフード&ビバレッジ社の固定資産の減損損失の影響みたいです。

また、コロナウイルスの影響で外食店舗売上や自動販売機による売上は落ちたと記載があるものの、それを相殺するように、缶ビールのような缶商品などの家庭用商品が好調に推移したようです。

その影響もあってか、翌年の2021年の純利益は、コロナ前の2018年、2019年を大幅に上回った利益を計上しています。

その主な理由としては、2021年の決算短信に記載によると、海外の一足早い外出制限解除によるアメリカのサッポロブランドビールの過去売上数量更新や生活環境の変化や健康意識の高まりによる、業務提携しているポッカ製品のポッカレモンの過去最高売上数量更新、あとは不動産事業における投資不動産の売却によって、純利益の大幅上昇し、株価上昇をもたらしたのではないかと、考えられます。

その他財務状況

株価上昇の分析でも使いますが、主に投資対象としての適正を見る側面として、流動比率、現金、ROE(株主資本利益率)、EPS(1株当たり利益)、キャッシュフロー・マトリックスの数値を見ていきます。

ウォーレン・バフェット指標：過去5年以上0.5%以上か？

ウォーレン・バフェット指標：現金の推移は安定しているか、右肩上がりか？

ウォーレン・バフェット指標：株主資本利益率(ROE)は安定的に高い数値か？

ウォーレン・バフェット指標：1株当たり利益(EPS)が安定的に高くなっているか？

ウォーレン・バフェット指標：キャッシュフロー・マトリックスが安定期もしくは投資期か？(下図参照)

これらの指標を確認すると、2020年の純利益の大幅減益によって、ROEやEPSの悪化がありますが、2020年を除けば、ウォーレン・バフェットの指標を概ねクリアしており、投資対象として、まずまずの印象ではないかと考えられます。

次に、日足でのチャートと各種テクニカル指標を確認し、もう少し詳細な株価上昇要因を見ていきます。

日足チャートとテクニカル指標での分析

日足チャートとボリンジャーバンド、MACD、RSIなどのテクニカル指標を追加したグラフがこちらです。

※緑線：ボリンジャーバンド上線、青線：25日移動平均線、赤線：ボリンジャーバンド下線

日足で確認すると、株価上昇と下落の紆余曲折がありながら、2倍株になったことが分かりまして、グラフに記載の赤四角部分と青四角部分に大きめの株価上昇ポイントがあることが分かります。

赤四角部分の株価上昇要因

まず、赤四角部分の期間(2021/2/10付近)には、2021年の期末決算報告がありました。

その内容としては、2020年の純損失から2021年に純利益の大幅上昇に転じたこと及び、2022年の通期計画にて、2021年の実績売上収益4,372億円に対して、2022年の売上収益を4,787億円と計画したことがプラスに作用したのではないかと考えられます。

青四角部分の株価上昇要因

次に、青四角部分の期間(2022/4/27付近)には、特にサッポロホールディングスの決算報告などのIRニュースは出ていませんでした。

なんだろうか？、と株式サイトを調べると、2022/4/26にアサヒグループのビール値上げがあったようで、この発表による連想買いとあり、リンク先のニュースにも記載がある通り、この当時に原料高の影響によるビールの値上げがあり、サッポロビールも少し遅めの2022/6/2に値上げを報告しているようです。

このビール値上げの影響で、株価が上昇したようで、そこから先も米ビールメーカーの買収発表や、2022/11/9の決算報告で、通期計画の純利益の進捗率を第3四半期時点で109%と上回ったことが、投資家の好感を買い、上昇トレンドに乗り、3,500円付近まで株価が上昇したと考えられます。

まとめ

この記事では、サッポロホールディングス(2501)の株価上昇要因について、解説しました。

今回のサッポロホールディングスの主な株価上昇要因としては、以下のような要因がありました。

やはり、決算が良いというのは、配当アップや自社株買いなどの株主(投資家)のインカムゲイン、キャピタルゲイン増加につながる報告も期待できますし、株価上昇の大きな要因になることが分かりました。

その他にも原料高による、他社のビール値上げが株価上昇に繋がるということから、原料高になっている際は、商品の値上げが期待される製品を扱っている企業に注目すると、株価上昇の恩恵を得られるのかもしれません。

今後、そのような観点でも、分析(各企業の値上げ報告後の株価推移など)を行い、裏付けデータを取っていければと思います。

長々と記載させて頂きましたが、お読み頂きまして、ありがとうございました。今回お読み頂いて、お読み頂いた方の気づきがあれば、幸いです。